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乳歯に穴が開く原因は虫歯だけじゃない!虫歯と酸蝕症の違い

乳歯に穴が開く原因

子どもの乳歯に穴が開いてしまうと、ショックを受ける保護者の方は多いでしょう。乳歯に穴が開いている場合、「虫歯」の進行が疑われます。

虫歯とは、虫歯菌が食べかすや歯垢を餌にして増殖し、虫歯菌が出す酸によって歯が溶かされていく病気です。初期のうちは気づきにくいですが、進行すると歯に穴が開きます。

また、治療した歯が再び虫歯になる「2次カリエス」の場合もあります。2~4歳頃の虫歯治療は、泣き叫んで口を開けることさえ困難になることも多いです。そのため、完全に虫歯を除去することが難しく、2次カリエスになる可能性があります。

乳歯に穴が開く原因は、虫歯だけではありません。「酸蝕症(さんしょくしょう)」の可能性もあります。酸蝕症は、酸性の飲食物や胃酸によって歯が溶けてしまう病気のことです。虫歯との違いは、虫歯は細菌感染によって引き起こされるのに対して、酸蝕症は飲食物に含まれている酸によって引き起こされます。乳歯は永久歯と比べると、歯の表面を覆っている「エナメル質」の厚さが薄く、酸に対する耐性も弱いため、虫歯が進行しやすいほか酸蝕症にもなりやすいのです。

 

酸蝕症とは?

上記でも解説した通り酸蝕症とは、飲食物に含まれている酸によって歯が溶ける病気のことです。普段私たちが何気なく摂取している飲食物には、酸が含まれています。その代表的な飲食物としては、たとえば、お酢やかんきつ類、炭酸飲料などが挙げられます。お口の中は、唾液によって中性に保たれていますが、酸性度の高い飲食物を頻繁に摂取しているとお口の中が酸性に傾くため、酸蝕症になりやすいのです。また、逆流性食道炎など、胃や食道の病気でお口の中が胃酸にさらされると酸性に傾くため、酸蝕症になる可能性が高まります。

特に、乳歯や生えたばかりの永久歯は、エナメル質の厚さが薄く歯質が軟らかいです。そのため、酸性の刺激に弱く酸蝕症になりやすい傾向にあります。酸蝕症になると、冷たいものや熱いものがしみる、歯に穴が開く、歯が透けて見える、詰め物や被せ物が外れやすくなるなど、さまざまな症状が現れます。

 

黒い線や点、白濁色も虫歯のサイン!?

乳歯の虫歯のサインとしては、黒い線や点、白濁色になるケースも考えられます。

大人の虫歯は黒色や茶色に濁るのに対して、乳歯の虫歯は白濁色をしていることがあります。虫歯が大きくなっても白濁色のままであるため、虫歯になっても気づかずに進行してしまうことが多いです。加えて、永久歯と比べると乳歯は歯質がやわらかいため、虫歯の進行がはやく、半年ほどで神経に到達することもあります。乳歯の虫歯が黒くなるところまで進行すると、大きな穴が開いている状態になり神経の治療が必要になることも多いです。

ただし、黒い線や点は、着色汚れによって黒っぽくなっていることもあります。その場合、通常は歯を磨けば落ちますが、歯科医院でのクリーニングが必要になることもあります。

 

乳歯は永久歯に比べて虫歯ができやすい

乳歯は永久歯と比べて虫歯になりやすいです。その理由は以下の通りです。

 

歯質がやわらかく、虫歯が進行しやすい

乳歯のエナメル質と象牙質の厚みは永久歯の半分程度。歯質がやわらかく薄いため、虫歯になるとすぐに神経まで到達します。乳歯の虫歯が進行すると、永久歯の生え変わりがスムーズに進まなくなったり、あごの成長やかみ合わせにも悪影響を与えたりすることがあります。

 

食事の頻度や量が増え、甘いものを好むようになる

子どもは多くのエネルギーと栄養素が必要になるため、朝・昼・晩の3回の食事では不足しがちです。不足した栄養素はおやつや間食で補う必要があります。

また、味覚の発達により甘いものを好むようになり、量も増えていきます。しかし、甘いものは虫歯菌の活動が活発になり、虫歯になるリスクが高まります。また、間食の回数が多いほど虫歯になりやすいです。砂糖の量が少ないものを与えたり、間食の時間を決めたりするといった工夫が必要になります。

 

1人では十分な歯磨きができない

大人でも難しい歯磨きは、子どもにとっても1人でしっかり磨くのは困難です。磨いているつもりでも、実は歯ブラシが届いていなかったということも少なくありません。そのため、ある程度自分で磨けるようになるまで(目安は小学校4年生くらい)は、仕上げ磨きが必要になります。仕上げ磨きのポイントは、虫歯になりやすい場所を中心に、磨く順番を決めることです。たとえば、噛む面の溝、歯の裏側、歯の表側といったように順番を決めておけば磨き残しを防ぐことができます。

 

乳歯の虫歯がよくできる場所

乳歯の虫歯ができやすい場所は、以下の通りです。

 

歯と歯の間

歯と歯の間は、最も虫歯ができやすいので注意が必要です。乳歯の場合、前歯は歯と歯の間にすき間があるのに対して、奥歯はすき間がありません。食べかすや歯垢がつきやすく、虫歯になりやすいです。

 

上の前歯の根元

2つ目は上の前歯の根元です。この場所にできる虫歯は「哺乳瓶虫歯」とも呼ばれています。長期間哺乳瓶でミルクやジュースなど甘いものを与え続けると、上の前歯の根元に虫歯ができます。

 

奥歯の溝

3つ目は奥歯の溝です。乳歯の溝は深く、歯ブラシが届きにくいため、食べかすや虫歯菌が溜まりやすくなります。

 

歯と歯ぐきの境目

4つ目は歯と歯ぐきの境目です。歯ブラシがあたらないと、歯ぐきに沿って帯状に黄色い汚れがたまることがあります。そのまま放置するとやがて虫歯になる可能性があります。

 

酸蝕症や虫歯から歯を守るためにできること

 

酸蝕症や虫歯から歯を守るためには、歯科医院での予防がおすすめです。歯科医院では、フッ素塗布やシーラントといった処置を行います。

 

フッ素塗布

フッ素塗布とは、高濃度のフッ素を歯に塗布して虫歯を予防する処置のことです。フッ素には、歯質の強化、歯の再石灰化、虫歯菌の活動を抑制する効果があります。約3か月間効果が持続するので、定期的にフッ素塗布を行い乳歯の虫歯を予防しましょう。

 

シーラント

シーラントとは、食べかすや虫歯菌が奥歯の溝に入り込まないように、プラスチックで埋める処置のことです。シーラントは奥歯の乳歯が生えてくる3~4歳ごろ、奥歯の永久歯が生えてくる5~6歳ごろ、12歳臼歯が生えてくる12歳ごろに行うのが一般的です。また、シーラントにはフッ素が含まれているので、歯質の強化にもつながります。

 

 

お子さまの虫歯予防やケア方法について気になった方は、ぜひ当院の小児歯科までご相談ください。